思えば、わたしたちも、知らない間に様々な物を失い、
そして、いつの間にか、忘れ去っているのでしょう
最初に読んだ時、私は、登場人物の一人の言葉に、心がすとんと
本当にすとんと、硬くなりかけた心がすっと救われました気がしました
慣れ親しんだ日常を失い、誰しもが懸命に心を保とうとしている今、
小さな言葉の結晶を紡いだこの密やかな物語の記憶は、
読んだ人の心の奥底に、そっと、寄り添い続けることでしょう
理屈から自由になり、矛盾を受け止める必要に迫られた時、人は自然と文学に心を寄せるようになる
死者の声を運ぶ小舟 ’ニューヨークタイムズ 2020.8.6′ 小川洋子