魚が水の中でしか呼吸をできないように。
水たまりで息をする 高瀬隼子 集英社
「風呂には、入らないことにした」
突然、宣言した夫の
その無邪気さの奥に潜む
もう「そこ」でしか生きられない”どん詰まり”の、その絶望が
普通に流れる夫婦の日常を少しずつ変えていく
そばにいるのに遠い夫の、その手を放したくなくて…
”今日だけはどうかこのまま ー”
ページをめくるごとに、行間に、滲み出る苦しみ
切ない、という一言では言い表せないやるせなさ
哀しみ、伝えそびれた言葉と
もしかして、理解しえたかもしれない痛みに自らを重ね合わせ
降りしきる雨のように、何時までもいつまでも心の中を覆いつくす
無数に選択肢がある人生で、まっすぐここまで辿ってきた当たり前みたいな道 ー
水たまりで息をする 高瀬隼子 集英社