晴れた夏の黄昏どき
静かな湖面を進んでゆくカヌー
薄闇に沈む水面、いつまでも変わらない静かな川の流れ
かつては輝いていたテニスコート
最初の落ち葉が舞う季節に…
物語の舞台となるスコットランドの美しい情景と
そこに住む人々のどこにでもありそうな平凡な人生の一編が
淡いきらめきを放って紡がれています。
儚く脆い人生の機微や
自らの前を素通りしていった多くの出来事
戻ることのできない過去にふと想いを馳せ ー
淡いが、巧み。いや、淡くて、巧み、と。
1992.6.28 朝日新聞朝刊書評より抜粋(沢木耕太郎氏)