あかがね色の絹で装丁された一冊の本

はてしない物語 ミヒャエル・エンデ
上田真而子 佐藤真理子訳 岩波書店

動かすとほのかに光るあかがね色の表紙に描かれた二匹の蛇の中に

飾り文字で記された題名は、

「はてしない物語」 

長い時間をかけて、ようやく読み終えた

この重厚な作りの装丁が、物語の中の物語の国からつながっていたことに

あらためて、深く思いを巡らせています。

主人公のバスチアンはこのあかがね色の本を初めて目にしたとき、

瞬間に、何かが、ひとりでに始まる不思議な予感に心囚われた。

私の「はてしない物語」も、まわり道の途上にも

いつか開かれるのをそっと待ってくれていた

長い年月を過ごした本棚から、また新たな物語が歩き出すのでしょう。

”けっして終わりにならない物語” 

何度でも。そしてそれは、そのつど、はじめてで、しかも一度きりのこと ー

はてしない物語 ミヒャエル・エンデ 上田真而子 佐藤真理子訳 岩波書店