大人特有のインチキや不公正を嫌悪する主人公が
一方で、自身の弟や妹、正直なもの、純粋なうつくしいものへ向ける
切ないほど眩く温かなまなざし
そのままであってほしいと願うものすべてがすべて
今のまま、でいることは不可能であることを悟りつつある16歳の
やるせなさと哀しみに、心をぐっと掴まれます
”一つの曲の間にたった二回しかたたくことのないティンパニー奏者の、
たたかないときでも決して退屈そうな顔をしない”、そんな誠実さ ー
村上春樹氏の新訳「キャッチャー・イン・ザ・ライ」と
読み比べてみるのもおすすめです。
この本が世に出たときの驚きは、君には想像できないだろうね。
2003年5月2日 朝日新聞朝刊「天声人語」より